耳が聞こえにくい
急に耳が聞こえにくくなる、徐々に聞こえが悪くなってきた、音がこもって聞こえる、映像は字幕を表示させないとセリフだけでは意味を掴みにくいなどの症状がある場合、難聴が疑われます。加齢が原因となって進行する難聴が知られていますが、耳の病気である中耳炎・突発性難聴、メニエール病などの症状として生じることもあります。突然聞こえが悪くなった、片方の耳が聞こえにくい、聞こえの低下に耳鳴り・めまい・耳の痛み・耳漏(耳だれ)を伴う場合には早急な耳鼻咽喉科受診が不可欠です。特に突発性難聴の場合、1週間以内に適切な治療を受けることが推奨されています。
聞こえるが言っていることがわからない
音としては聞こえていますが、意味のある言葉として聞き取るのが難しい、または聞き取れるまでに時間がかかる状態をさします。
音情報は蝸牛で電気信号に変換され蝸牛神経を介して脳幹に到達します。脳幹では左右から伝わったシグナルを統合し、必要と判断された情報はより高次の脳へ伝えられます。最終的に聴覚皮質を中心とした大脳皮質で情報が処理されます。
蝸牛内の感覚上皮細胞である有毛細胞のシナプスから放出される神経伝達物質を蝸牛神経が受け取ることで神経活動を引き起こします。
高次脳の障害やシナプス障害(cochlear synaptopathy)は聴力レベルに大きな変化はともないませんが、言葉の理解や騒音下でのききとりが著しく低下することが知られています。 こうした症状があると一般的な聴力検査では異常が確認できず、「気のせい」「やる気がない」と誤解されて深く悩まれるケースもあります。原因や要因を丁寧に確かめることで、適切な対応が可能になり、より快適な生活につながります。言葉を聞き取りにくいという症状がありましたら、気軽にご相談ください。
耳の痛み
耳の痛みは、外耳炎、鼓膜炎、急性中耳炎といった耳の病気が疑われる症状ですが、顎関節症や喉の炎症に症状として起こる場合もあります。また、耳の痛みがある場合には、できるだけ早く適切な治療を受ける必要がある水痘・帯状疱疹ウイルス感染によって生じている可能性があります。耳の痛みが生じた場合は早めに耳鼻咽喉科を受診してください。
また、耳の痛みに加え、顔のしびれ、動かしにくさ、めまい、聞こえにくさなどが伴う場合には、深刻な原因疾患が隠れている可能性がありますので、早急にご相談ください。
耳鳴り
無音状態にもかかわらず音が聞こえる状態です。耳鳴りには、自覚的耳鳴と他覚的耳鳴の2種類に大きく分けられ、他覚的耳鳴の場合は血管の拍動や筋肉の痙攣による微小な音が実際にあり、医師など他人が確認できるタイプの耳鳴りです。自覚的耳鳴はご自分にしか聞こえない耳鳴りであり、難聴の症状を伴うこともあります。
耳鳴りの発症原因は明確になっていませんが、突然耳鳴が生じた場合には難聴が疑われます。難聴は様々な疾患によって生じる症状です。突発性難聴のように、できるだけ早く適切な治療を受けることで、回復への可能性が高くなる疾患もあります。耳はデリケートな器官であり、ストレスなど心の状態によって耳鳴りを起こすこともあります。耳鼻咽喉科の専門的な検査で原因をしっかり確かめ、適切な治療につなげることが重要です。
幻聴が聞こえる
存在しないはずの音が聞こえることがあります。耳が原因の難聴の場合、聞こえるのは声ではなく、例えば「キーン」や「ザーザー」といった意味のない単純な音であることが一般的であり、これは耳鳴りと呼ばれます。一方、脳の聴覚機能に異常が生じると耳鳴り以外の音が聞こえる可能性があります。それらの音は「言葉」「文章」「音楽」など意味のある複雑な音である場合もあり、これらを幻聴と呼びます。
なお、正体不明の話し声や音が繰り返し聞こえる場合、脳の病気による幻聴の可能性があります。幻聴は発症早期に加療を開始すればコントロールが良好な場合もありますが、の症状を放置すると症状が悪化するだけでなく、他の脳機能の障害が生じる可能性があります。幻聴の可能性があると感じたら、一度当院を受診ください。当院は精神科・心療内科の専門病院とスムーズに連携可能です。
耳だれがでる
(耳から膿が出る)
耳だれは、耳の穴から膿のような液体が出てくる症状で、医学的には耳漏と呼ばれています。様々な疾患の症状として生じ、水っぽい、粘度が高い、血が混じっているなど、耳だれの内容によって原因疾患がある程度絞り込めます。
外耳道には皮脂腺や汗腺などが多く存在しており、産毛があって分泌物などが付着しやすい環境です。過剰な耳かきなどで傷や湿疹ができ、痒みを感じてさらに耳かきを行って炎症を悪化させ、耳だれを生じることもよくあります。こうした外傷による耳だれ以外にも、中耳炎などの疾患によって耳だれが起こることもあります。特に幼い子どもは耳と鼻をつなぐ耳管の構造から中耳炎になりやすい傾向があり、耳だれを起こして中耳炎が発見されることもよくあります。耳をよく触るようになったなど、疑わしい症状がありましたら早めにご相談ください。